日経平均分析_2023年10月10日データ
日経平均、予想EPS、PERから読み解く
下図は、日経平均と予想EPSの関係からPERの推移を示したものである。
PERは14倍を超えた。
(2023年10月10日データ) 日経平均:31,746.53 EPS:2,074.93 PER:15.3
- 2008年度から日経平均はPER13倍から18倍(この範囲をゾーンと呼ぶことにする)の中で概ね推移している。
- 日経平均がゾーンの範囲外にあるのは市場環境に大きな変化があった場合に限られる。
- 2008年度から2017年度までにEPSは3倍超に。
- 2008年度(リーマンショック):ショック時はEPSの変化よりも先に株価が大幅下落しPERは低下。日経平均はゾーン外へ。その後、EPSが急激に小さくなっていったことで、PERは急上昇。日経平均は逆サイドのゾーン外へ。
- 2009年度(金融緩和):金融緩和政策により株価、EPSともに上昇。ただし当年度中はすべてゾーン外だった。
- 2010年度:リーマンショックからようやく日経平均はゾーン内へ復帰。3年ぶりのゾーン入り。
- 2011年度(東日本大震災):震災直後はゾーン内に止まったが、2012年2月にEPS下落によりゾーン外へ。
- 2012年度(アベノミクス):EPSの上昇よりも株価が先行して上昇。PERは急上昇しゾーンを越えた。
- 2013年度:株価上昇の後を追うようにEPSが上昇。日経平均はゾーン内へ。
- 2016年度(ブレクジット):株価急落により日経平均は一時的にゾーン外へ。
- 2018年度(米中貿易戦争):株価はゾーン外へ。PERは11倍から13倍の低位で推移した。
- 2019年度(米中摩擦、コロナ・ショック):米中摩擦緩和でゾーン内に回帰するも、新型コロナ・ショックで再び大きくゾーン外へ。
- 2020年度(コロナ・ショック):新型コロナウィルスの世界的な感染拡大でゾーン外へ。世界的金融緩和でPERが上昇。
- 2021年度(コロナ禍継続):EPSが上昇しPERはゾーン内へ。金利上昇とウクライナショックでゾーン外へ。
- 2022年度(コロナ禍継続・金利上昇・ウクライナショック)
- 2023年度(コロナ禍終息、物価上昇、金利上昇、ウクライナ問題継続)
補⾜説明
株価=EPS(⼀株当たり利益)×PER(株価収益率)と示されます。株式会社の純利益はすべて株主のものですから、この式が意味するところは、今年度の利益(EPS)が何年(PER)続くと現在の株価(収益トントン)になるのか?を表しています。もちろん、将来の利益は変動しますから、PERは投資家や市場の「期待」を示している。ともいえるでしょう。
ここ10年、日経平均のPER は13倍~18倍の中で推移してきました。このゾーンが日経平均の期待の範囲だったのです。市場に大きなリスクが発生すると、ゾーンを超えた状態が発⽣します。
日経平均 PERの変化
下図は、日経平均PERの年度内の変化を示している。
2023年度、久しぶりにPER14倍を超えた。
日経平均、ドル円、EPS、PERの推移
日経平均、EPSの推移
EPSの推移
ドル円 VS 日経平均相関
(ドル円と日経平均は長期では強い相関が認められるが・・)
2023年度、相関が強まっている。
【補足】
決定係数(R2)は相関関係の強さを示しています。0から1までの数値の範囲の中で、1に近いほど相関が強いことを示します。
相関係数を2乗して求められます。
0.7以上では、かなり強い相関が認められます。
0.4~0.7では、やや相関が認められる。
0.2~0.4では、弱い相関。
0.2未満では、ほとんど無相関状態を示します。
日経平均 VS NYダウ 相関
日経平均とNYダウには強い相関が認められる。
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※本ブログは執筆者の個人的見解に基づいて書かれたものであり、当社の公式見解を示すものではありません。また情報提供のために作成されたものであって、投資家に代わって投資判断を行うものではありません。

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